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中野区と性的マイノリティ

 4.中野区と性的マイノリティ



 中野区では平成15年10月22日に以下の通りの国に対する意見書を議会で可決しております。(当時の提案者は議会運営委員全員、提案代表者は大内しんご議員、当時の区長は1期目の田中大輔区長、私はまだ議員になる前のできごとです)
 その際の議会での審議の議事録は以下通りです。

==========(以下)=============

○議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、さよう議事を進行いたします。
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 議員提出議案第15号 性同一性障害を抱える人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める意見書

○議長(山崎芳夫) 日程第10、議員提出議案第15号、性同一性障害を抱える人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める意見書を上程いたします。
 提案者代表の説明を求めます。大内しんご議員。
                 〔大内しんご議員登壇〕
○10番(大内しんご) ただいま議題に供されました議員提出議案第15号、性同一性障害を抱える人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める意見書につきまして、提案理由の説明を申し上げます。
 なお、提案説明は案文の朗読をもってかえさせていただきたいと存じますので、御了承願います。

性同一性障害を抱える人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める意見書
 性同一性障害は、世界保健機関も認める医療疾患で、わが国では、平成9年(1997年)に日本精神神経学会によるガイドラインが定められ、外科的治療の性別適合手術が合法的に可能になりました。また、翌年には、初めての正当な医療行為としての手術が埼玉医科大学で行われました。しかし、専門医は限られ、保険適用もなく、経済的にも大きな負担となっています。手術の施行例もわずかです。
 性同一性障害を抱える人々は、性別を意識する頃から自身の性別に違和感を持つ人もおり、成長過程の中で、学校・家庭・社会等において様々な苦痛を強いられています。戸籍と異なる性で生活をしている場合には、住民票の提出ができず、就労・入居に困難をきたしています。また、選挙や各種申請における本人確認、健康保険証を使用しての受診など性別記載のある公文書を提出する際、数々の問題が生じてきます。男女別のトイレの利用、制服の着用といった日常的な問題から、性同一性障害であることが知られたため解雇されたなど、身体的・精神的・経済的な困難に直面しています。
 本年7月、国会において「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が全会一致で成立しました。しかし、その内容はまだ十分ではなく、更なる対応が必要と考えます。戸籍上の性別変更の可否にかかわらず、戸籍と異なる性で普通に生きることが出来ない性同一性障害者のために、早急に社会環境の整備を求めるものです。
 よって、中野区議会は、以下の事項を政府に要請します。
 1 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」施行3年後の再検討時には、要件の緩和を図ること
 2 公文書での性別記載は可能な限り削除すること
 3 就職、不当解雇、職場差別などの禁止
 4 治療の保険適用・医療機関の拡充など医療面での国の支援
 5 教育、医療関係従事者など、性同一性障害に関わる専門職の人々への研修
 6 セクシャル・マイノリティを含む性教育の充実及び教育現場での理解
 7 社会に対する啓発・情報提供・相談機関の確保
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
年  月  日
内閣総理大臣
内閣官房長官 あて
厚生労働大臣
中野区議会議長名
 以上でございますが、同僚議員におかれましては、何とぞ満場一致で御賛同賜りますようお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。
○議長(山崎芳夫) 本件について御質疑ありませんか。
                 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
 本件は、委員会付託を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
                〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、委員会付託を省略いたします。
 本件については、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませか。
                〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、これより採決いたします。
 上程中の議案は、原案どおり可決するに御異議ありませんか。
                〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 
------------(以上、全会一致で可決をしました。)-------------

 また、私が議員になった後、性的マイノリティについて様々な質問を致しましたが、
そのいくつかは区長からの答弁(回答)でした。以下に抜粋して掲載をしておきます。

(1)
 石坂:同性カップル、友人同士での共同居住について区民から相談を受けている。ハウスシェア、ルームシェアを希望する人が住む場所に困らないように、区が民間の不動産店と連携し住宅難民を生み出さないような取り組みが必要では?
 田中区長:新しいライフスタイルに応じた住まいの在り方について不動産団体とも情報交換をしながら協力体制の整備に努めてまいりたい
 →同性カップルなどが好き前支援事業の住宅情報提供の利用ができるようになりました。

(2) 
石坂:性的マイノリティ、思春期の子どもなど、うつ病あるいは精神疾患にかかることが多い層に対し、それぞれの特徴にあわせた対応が求められる。区職員には、知識を持ち、要支援者を適切な掃討部署に繋ぐ力を育てる研修が必要では?
田中区長:区の窓口では様々な相談を承り、きめ細かい対応に努めている。自殺やうつの傾向に気づき、適切な担当部署に繋げられるように、昨年度から区職員に対して自殺予防の研修などを行っているところ。

(3)
石坂:HIV陽性者・免疫機能障がい者の福祉・就労などを相談できる窓口の拡充と積極的な広報が必要では?
田中区長:適切に対応していきたい。週路支援が必要な方に障害者福祉事業団を活用いていただけるように区報等で周知をしていく。
→区報に記事が掲載され、相談実績もすでにある状態です。
 

  そして、LGBT専用の窓口ではありませんが、性的マイノリティにとって地域生活でかかわりが深い窓口やサービスとしては現在、以下のものなどがあります。

【1】同性二人暮らしについての住み替え支援 区役所9階4番窓口(都市計画分野住宅施策担当)
【2】防災緊急連絡先カードの配布 区役所8階13番窓口(地域防災担当)
【3】同棲カップルのDVの相談 区役所2階15晩窓口(生活援護分野生活相談担当)
【4】HIV・性感染症の検査・相談 中野保健所2階保健予防担当(要予約)
   (1)休日実施の即日検査:偶数月の第1日曜日。同性愛者の当事者団体への委託により実施。
     (予約:03-6382-6190)
   (2)毎月第2,4水曜日の午後13:30~14:40。区直営で実施。結果は約2週間後。
     (予約:03-3382-6577)
【4】免疫機能障がい(HIV陽性)を含む障がい者の就労相談・支援・雇用促進 中野区障害者福祉事業団
(中野区からの業務委託事業)
【5】メンタル面・うつなどの精神障がいの相談支援 社会福祉会館6階地域生活センターせせらぎ(区の業務委託)

 また、実際に窓口やサービスを使ってみて不都合などを感じた場合は、
【6】 中野区 区民の声メールフォーム http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/156500/d005399.html
 にて、声をお寄せください。今後の改善にもつながっていきます。

 そして、今年の東京レインボープライド(パレード)では、中野区長からのコメントも寄せられました。
中野区と性的マイノリティ_f0121982_10472428.jpg

( ↑ 東京レインボープライドにおける中野区長のコメント)


 正直、まだまだ意識が追い付いていない区の職員も少なくない現状がありますが、
東京レインボープライドの段階で区長が寄せてくれたメッセージの趣旨に沿って区の職員の意識が今後着実により良い方向へと変わっていくような働きかけを続けていきたいと思っています。
by wishizaka | 2014-05-27 10:45 | 国政や自治体全般の動きなど
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