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発達障碍者の就労に関するシンポジウムを聴いてきました。

主な内容は以下のようなお話でした。

・発達障碍者の「発達の障碍」は乳幼児から見え始め、「行動の障碍」は幼児から見え始め、「学習の障害」は学童期から見え始め、「心理面の障碍」は思春期から見え始める。
 そして、「心理面の障碍」は二次障碍であり、生得的な障碍と周囲の無理解により、低い自己評価や自尊心や自信低下、精神的不安定、不安感が強く、緊張しやすく、敏感性が高い。そして、その結果さらに、集団からの逸脱や、興奮・乱暴・反抗、不登校・怠学、非行、抑鬱・自殺企図・強迫性障碍、睡眠障害などに繋がっていく。

・発達障碍を証明する公的な制度がほとんどなく、大卒や大学院卒などの学歴であったり、IQが高かったりすると現行の障碍者手帳制度などから漏れてしまうケースも多い。

・就労上の問題を抱えている発達障碍者は四つのタイプに分かれる。
  (1)知的障碍のある発達障碍者=療育手帳取得や、特例子会社など障碍者雇用の対象となる。
  (2)知的障碍のない発達障碍者(医師の診断名の付いている場合)=精神障害者手帳などを取得する人もいる。発達障碍者支援センターやハローワークなどで職員の発達障碍に関する研修などが広がりつつある。
  (3)発達障碍の自覚があるが医療機関の診断のない人
  (4)発達障碍の自覚がなく気づいていない人
  *中には、発達障碍を生かして仕事に就いている人もいるが、特に(3)(4)の場合、適切なサポートがない中で就労に困難を抱えている人が多い。

・発達障碍は見えにくいため、努力が足りない・怠けている・言い訳・本人の気にしすぎ、と見られたり、無理解・いじめ・虐待の対象になりやすい。

・家族や周囲の理解を得られず、発達障碍であることをオープンにできない人も多い。(「全ての人が理解してくれる社会になったらオープンにできる」と言う人もいる。)

・また、障碍者就労支援の専門家はその専門性を高め、履歴書の書き方をアドバイスしたり、就労契約の代理人となること、就労支援の専門機関や雇用者側(商工会議所、経営者協会など)とのパイプを作っておくこと、実習後などのカウンセリングニーズ(必ずしもロジャース的な考え方のカウンセリングを指すわけではない)を満たすこと、障碍者本人のabilityとNeedsとChanceを考えていくこと、障碍者雇用の助成金・保険・医療・居住・生活支援・制度の知識の専門性も求められる。

・これからのジョブコーチは、単なるテクニック面で仕事を教えたり、本人の能力のアセスメントだけでなく、本人のニーズのアセスメント、企業の側のニーズの確認、企業と障碍者本人のニーズの調整(コーディネート)、コーディネートしきれない場合は他の機関につなぐ事などが求められる。

・できて当たり前のことでも、できるようになったことを評価していく、達成できたことを気づかせてあげるなど自尊心を高めていける対応を心がけ、また、障碍があるからできないのではなく、やってみてもらってから対応を考えて欲しい。

とのことでした。

 単に就労すればいい、仕事の技術が高まればいいと考えるだけでなく、本人の適性や希望をしっかり受け止め、雇用者側のニーズや状況もふまえたサポートが現在強く求められているということを強く感じるシンポジウムでした。
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by wishizaka | 2008-01-26 02:11 | その他