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渋谷区の「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」について

 渋谷区で「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」(同性パートナーシップ証明書等を含む内容)が可決されました。

 渋谷区という場所で初めての大規模なLGBTのイベントである「東京レズビアン・ゲイ・パレード」を主催された方々がいました。(私は1994年に開催された第1回目のパレード《この時は新宿区内で開催》と、1996年に開催された第3回目のパレード《この時は渋谷区内で開催》を歩きました。)

 そして、LGBTの当事者として初めて桑原区長と面会をしてパレードへの支援を求めた「東京プライド」の方々がいました。

 そして、何年も前から今回の条例に繋がるきっかけとなる議会質問を行い、その後も時に表で時に水面下で話を進めるべく頑張ってきたアライアンスな渋谷区の区議会議員の方々がいました。

 そして、今回渋谷区に働きかけを行った、東京レインボーウィークや東京レインボープライドや、NPO法人グッドエイジングエールズ等で活躍をされている方々がいます。

 高校3年生で初めてパレードを歩いた時から、世代や団体が移り変わる中で、様々な評価や批判がなされたり、対立や分裂、再統合がなされる様子をすぐ近くで見てきました。この激流の中で表舞台から立ち退かざるを得なくなった方、自殺をされた方、苦しい思いをされた方々がいました。
 
 渋谷でパッと条例案が出て、パッと可決されたように見られる方もいますが、20年間にわたって何かが脈々と流れ続けた結果がここに至ったのではないかと感じています。

 断続的ながら20年近く行われてきた渋谷でのパレードに私もほぼ毎回参加をする中で、最初は怪訝そうな顔をしていた沿道の人たちが、そのうちに物珍しそうな表情に変わり、やがてはごくありふれた一つのハレの舞台を見るような表情に変わっていくそんなことも20年間肌で感じてきました。

 旧いものを継承する、旧いものを否定して生み出す、旧いものを乗り越える結果をだす。こうしたことの繰り返しで物事は進んでいきます。過去に起こった様々な出来事やそれにかかわったすべての方(代表者も、実行委員も、ボランティアも、参加者も)に対して手放しで評価ができるわけではないけれど、でも今の私はそのすべての方々に「ありがとう」といいたいと思います。

 今回の渋谷区の条例は規則制定がこれからということもありまだ完ぺきな物ではありませんし、条例内容として過不足がないわけではないと思います。しかしまずは大きな一歩として、あとはそれぞれのLGBT当事者が自分たちが住むまちでそれぞれどんなことをしていきたいのかを考えていくべきなんだろうなと思います。

 それがパートナーシップ制度なのか、人権擁護なのか、困りごと相談なのか、シングルライフの支援なのか、LGBTのヘルスケアなのか、地域の実情に合ったしくみづくりや、それに向けたアクションが求めらるのかと思います。

 今回の渋谷区の条例制定が、長い時間をかけて地下水がようやく地上に出て水が流れ始めた水源と同様に、ゴールではなく、新たなスタートとして今後の議論が行われていければいいなと思います。
by wishizaka | 2015-04-01 02:24 | 国政や自治体全般の動きなど
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