8月25日に、新しい東京都人権施策推進指針(27年8月版)がでました。
(
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2015/08/DATA/70p8p101.pdf )
様々な社会的なマイノリティ・人権上の要配慮者についての現状把握や、今後の取り組むべき方向性について概ね進展していることは評価したいと思います。ただ、まだ不十分な部分も残されていることも感じました。
この指針で、高齢者については「年齢等を理由に一律に就職や社会参加、賃貸住宅への入居の機会を奪われた」「若い世代と共に地域社会の様々な活動に参加できるよう、社会環境づくりを進めていくことが重要」と問題をとらえていることは市区町村でも重要なことだと感じています。今後、高齢者が収入を得るためだけでなく、人権・生きがいとして働き続ける環境づくりや若者との協働をどう進めていくのかが求められます。
障碍児・者については「障害のある人もない人も、共に自立した生活を送ることができるようお互いに理解し合い、支え合う」、「学校教育においては、発達障害の子供への支援体制の整備や、障害が軽い生徒の職
業教育の充実、障害の重度・重複化や多様化等に対応した教育環境の整備など、特別な支援を必要とする子供の自立と社会参加に向けて、特別支援教育の充実を図ります。」と記載。『自立』とは何を目指して、どう進めていくのか。
勿論個々に応じて、自立の目指す到達点は異なるわけですが、曖昧なままにしておかれることで、結局掛け声だけで終わってしまったということがないようにすることが必要です。
性同一性障害は「学齢期にいじめに遭い、不登校になったり、性同一性障害であることを家族や友人に言えずに悩み、自殺まで考える人がいるという調査結果もあります」と明記。性同一性障害を含むトランスジェンダーなどの性的マイノリティの自己肯定感の向上や、イジメ・嘲笑の防止・教員が持つ偏見の解消が進めばと思います。 #LGBT
同性愛者や両性愛者などの性的指向も「性的指向の異なる人達への…偏見や差別の解消を目指した啓発…、相談に応じていきます。」と明記されました。
しかし、一方で「我が国では憲法で『婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立』と規定…」と記載されています。これは同性婚実現には憲法改正が必要であると暗に示唆する様な内容とも読めます。
「憲法で『婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立』と規定…」と書くだけではなく、そうであるが故に事実婚や、婚姻に準じた「シビルユニオン」や「PACS」のような制度での同性カップルの法的保障、あるいは同性カップルが抱える個別具体的な問題の解消への取組の必要性に触れる内容だとよかったと感じています。