自治体が作成する、同性パートナーシップに関する証明制度について、よく「渋谷区方式」、「世田谷区方式」と言われますが、パターンとしてその2つしかないというものでもありません。
例えば、次のような形で分類が可能です。
(1)何を証明しているのか
①同性パートナーシップ証明【二人がパートナーであることの証明】≪渋谷区≫
②同性パートナーシップ宣誓証明【二人がパートナであると宣言していることの証明】≪世田谷区≫
(2)制度を何によって定めているか。
①条例による【議会の議決を経て作られる(区長提案条例も議員提案条例も可能)。権利義務の付与や罰則が可能】≪渋谷区≫
②要綱による【首長の権限で作られる。権利義務の付与や罰則は不可】≪世田谷区≫
(3)二人がパートナーであることの根拠をどこに置いているのか。
①国の法律の基づく公正証書と居住・同一生計実態(財産管理等委任契約公正証書など)(作成は有料)≪渋谷区≫
②二人の宣誓と居住・同一生計実態(無料)≪世田谷区≫
これ以外にも違いはありますが、上記(1)~(3)について様々な組み合わせが考えられます。また、3人以上での「家族である」ことを証明する方式(一方の親に連れ子や任活で出産した子がいる場合など)や、男女の夫婦と同様に別居でもよいというような同性パートナーシップ制度なども考えられます。
なお、渋谷区の方式に限って一部の都市銀行が同性パートナー共同のローンを認めている例がありますが、もともと同性カップルに限らず、金融機関は公正証書による取引の委任契約などを認めてきた経緯があるため、条例方式か要綱方式かの違いではなく、公正証書がその根拠になっているか否かに依っているものと推測されます。