12月8日に東京都議会2020年第4回定例会の代表質問(の一部)をオンライン傍聴しました。 前回と今回の都議会定例会において様々な党派から同性カップルに関する質問がなされています。 都議会議員からの質問に対する知事や幹部職員の答弁にある通り、 今後も同性パートナーに関し、 「(これまでも)引き続き、課題の研究や国や他団体の状況調査を進めて」来たことや「休暇等福利厚生制度の見直しを検討」や、「どのような配慮や工夫が可能であるかについて、個別具体的に検討し」た結果を踏まえ、 都職員の同性パートナーに関する取組として「課題の研究や国や他団体の状況調査」や、 都民の同性パートナーシップについて「広く都民や当事者の意見を把握するため、実態調査の実施」を進め、 その調査結果を踏まえて着実に進めてもらうことが必要であると思われます。 現在、都議会に上程されている、条例改正による、都職員の介護休暇等を同性カップルを含めた同一世帯の人に認めるしくみは、同性カップルはもちろんのこと多くの共同生活をしている都職員にとってメリットとなる制度改正となります。同一世帯でない同性カップルや異性カップルをカバーできない点の課題は残りますが、同一世帯で共同生活を証明できるものが住民票の同一世帯程度でしか確認ができない中での限界もあると思われます。 また、次の課題として、都職員の同性パートナーの慶弔休暇や職員住宅への入居の課題が残ります。特にこれから職員住宅で一緒に暮らしたい別居のカップルにおいては今回と同じ同一世帯という条件ではハードルが高くなります。 それに代わるものとしては、各職員が居住する基礎自治体でのパートナーシップ制度を都が認める(民間のサラリーマンに関しては雇用主である民間企業が各基礎自治体のパートナーシップ制度を事実婚と同等に認める企業が増えているのと同様に、雇用主である東京都が各基礎自治体のパートナーシップ制度を認める)か、都職員の福利厚生や都民の都営住宅への入居などを認めると独自のパートナーシップ制度を創設するかが考えられます。 ただ、基礎自治体の同性パートナーシップ制度は、一部の自治体を除き同居が登録の要件となっています。また、基礎自治体の同性パートナーシップ制度は、公正証書の要・否、条例方式・要綱方式、在住・在勤の場合の登録の可・否、対応しない民間事業者名の公開の有・無などに違いがあります。 中野区の場合がそうでしたが、パートナーシップ制度を導入すると決めてから、どのような仕組みにするのかを決めるまでは、実質数か月間で急ピッチで進みました。東京都の場合も同様に進む可能性があります。 実態調査が行われる中で、またその後の制度設計が検討される時期において、「パートナーシップ制度は欲しいが、細かくどのようなしくみが望ましいのかに対してはノーアイデア」ということだと当事者のニーズと合致しない制度となってしまう可能性もあります。そうした点も考えていくことが必要であると思われます。 (それから、都内の23区は別として、東京都と東京都下の市町村は対等・独立の関係にある為、東京都が同性パートナーシップ制度を作った際に各市町村がどう扱うかが市町村ごとに((制度設計によっては都内特別区においても))対応が異なる制度設計となる場合があります。 ((Ex.東京都のパートナーシップ制度で都営住宅への入居が認められても市営住宅には入れないという事もあり得ます。)) 東京都が制度を作る動きがあるので、パートナーシップ制度を新たに作る際に、各市区町村が都の行方を待つ必要はなく、それぞれの自治体で進めて行くことも重要であることも書き添えておきます) 【参考】 ●2020年 第4回定例会 代表質問 ▶公明党 高倉良生議員 (中野区選出)が、 「本定例会に職員の勤務時間休日休暇等に関する条例の一部を改正する条例が提出されました。しかし同一の世帯に属する者という表現になっており、同性パートナーの慶弔休暇や職員住宅への入居などは対象になっておりません。早急に対象にするよう強く求めるものであります。また我が党が強く求めてきた同性パートナーシップ制度の導入についても未だに取り組みが進んでいません。導入した自治体は60以上となり、茨城県、大阪府に続き、三重県や群馬県も実施に向けて検討が始まりました。都は、昨年、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を施行し、多様な性の理解の推進として性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消を掲げています。また、都は高度外国人材の受入れ促進を図る上で外国からの同性パートナーの在留手続きなどの特例措置を国に求めています。であるならば、受け入れ先の東京こそが制度として同性パートナーシップを導入し知事の言うダイバーシティを文字通り構築すべきであります。制度導入に向けて検討委員会を立ち上げるなどして、具体的な検討に入るべきと考えますが、知事の見解を求めます。」との質問に対し、 小池都知事が「同性パートナーシップ制度の導入についてのご質問がございました。同性パートナーシップ制度は婚姻関係のあり方そのものに関わるものでありまして、広く国民の理解を得ていくべき課題と認識をいたしております。都におきましては性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの解消のために昨年12月基本計画を策定、性的マイノリティーの方々に対しまして都庁の各局でどのような配慮が必要なのか個別具体的に検討いたしまして、必要な取り組みを推進しております。引き続き国内外の動向や社会情勢の変化などを踏まえながら広く都民や当事者の意見を把握するため、実態調査の実施を検討するなどして、当事者のニーズに即した施策を展開してまいります。今後とも当事者の方々に寄り添う取り組みを強化することによりまして、誰もがいきいきと生活できるダイバーシティ東京実現してまいります。」との答弁 ●2020年 第4回定例会 一般質問 ▶東京みらい 森澤恭子議員(品川区選出)が、 「今般、職員の介護休暇等の対象となる要介護者の範囲を拡大する条例改正案が提出されました。この主旨は親族に限らず同一世帯で生活する者を対象にするということで都職員の介護の実態に即した改正をする主旨には一定の理解をするものです。一方で同性パートナーも家族として認めた上で福利厚生制度の対象にしてほしいと望む方からは却って尊厳を傷つけるような内容との指摘もあります。私たち無所属東京未来は五輪人権条例の主旨に沿って事実婚に認められている程度同性パートナーにも見てほしいという声にまっすぐに答えてほしいと繰り返し伝えてきました。本当の意味では当事者の方々の気持ちに寄り添い真のダイバーシティ社会へと歩みを進めるためにこうした意見に真摯に受け止め引き続き制度の改善を図るべきと考えますが見解を伺います。最後に都政の構造改革について伺います」と質問し、総務局長が 「同性パートナーを有する都職員の福利厚生制度についてでございますが、今回、介護休暇等の対象となる要介護者の範囲を拡大する条例改正案を提出しております。この改正は、介護を理由とする退職者が一定数存在し、今後、要介護者や介護の担い手の増加が想定されることから、介護と仕事の両立を一層支援するために実施するものでございます。これにより職員は同一の世帯に属する等の要件を満たせば休暇取得が可能となります。一方、同性パートナーに対していて異性パートナーと同様の福利厚生制度を認めることを求める声もございます。制度の適用に関しては婚姻関係のあり方等の課題があり、引き続き、課題の研究や国や他団体の状況調査を進めてまいります。」と答弁。 ●2020年 第3回定例会 代表質問 ▶都民ファーストの会 増子ひろき議員(文京区選出)が、 「私たちは、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重条例の提案と実現、都立病院における面会や医療的な判断に同性パートナー等がかかわれることや、同性パートナーを都営住宅の入居対象とすることを求める提案などを行ってきました。 先日、都の職員が、同性カップルにも異性カップルと同様の福利厚生を求め、東京都人事委員会に措置要求し、却下の判定が出たと報道されました。LGBT等の方々、外国人、障害者、育児、介護中の方など、人も暮らし方も多様化していますが、誰もが輝き、活躍できる東京を実現していく上で、足元の都庁から、多様な個性と能力を有する都職員一人一人が力を発揮できる環境を整えるべきです。 そこで、LGBT等の方々を初めとして、全ての職員が安心して働くことができるよう、都職員の福利厚生制度を一層整えていくべきですが、知事の見解を伺います。」と質問し、小池都知事が 「 私はこれまで、都市の活力を生み出す、人が輝いてこそ東京が輝く、こうした確信のもとで、人に焦点を当てた施策を展開してまいりました。だからこそ、人が輝く東京を新たな東京大改革の柱の一つとして掲げているところであります。 都庁におきましても、これまで子供の看護休暇の拡充、SOGIハラスメント防止のほか、テレワークの推進等、さまざまな事情を抱える職員が持てる力を存分に発揮できるよう取り組みを進めてまいりました。 喫緊の課題であります新型コロナウイルス感染症対策を初め、都政の構造改革の推進、さらには、来年開催をいたします東京二〇二〇大会の成功など、山積する都政課題を解決していくためには、多様な職員の力が不可欠であります。 今後、職員一人一人の不安を解消して、性自認及び性的指向、育児や介護等の事情にかかわらず、これまで以上に生き生きと活躍できるような休暇等福利厚生制度の見直しを検討してまいります。」 ▶共産党 大山とも子議員 (新宿区選出)が、 「 同性パートナーシップ制度は、全国五十九の自治体に広がるなど、社会的認知が前進しつつあります。ところが、都職員による異性カップルと同様の休暇や給付金などの福利厚生を求める措置要求は、都の人事委員会から却下されました。 しかし、人事委員会は却下の一方で、極めて異例の付言をつけ、職員が性自認及び性的指向にかかわらず活躍できるよう、ハード、ソフト両面から職場環境の整備に努めていくべきと知事に求めました。この付言について、知事はどう受けとめ、具体化するのですか。 鳥取県では、七月から、県職員の福利厚生制度の運用を変更することで、異性カップルと同様の休暇や手当を同性カップルにも認めています。東京都は、人権尊重条例に基づき、すぐにも進めることができるはずです。いかがですか。」 と質問し、これに対して総務局長が、 「次に、同性カップルの都職員に対して、異性カップルと同様の福利厚生制度を認めることについてでございますが、同性カップルへの休暇等制度の適用に関しましては、婚姻関係のあり方や制度の根拠となる法令との整合性等のほか、制度の適用に当たっての客観的な確認方法等を含め、総合的に検討していく必要があると認識してございます。 引き続き、課題の研究や国や他団体の状況調査を進めてまいります。」と答弁 ●2020年 第3回定例会 一般質問 ▶無所属(東京みらい) 斉藤れいな議員 (南多摩選挙区選出)が、 「 東京都が、慶弔休暇や結婚祝い金などの職員向け福利厚生制度を適用しないのは不当な差別であるという職員の方からの訴えがあり、東京都の各種制度が同性カップルを想定していない部分があることが明らかになりました。 東京都では、一昨年、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定し、その第四条において、都、都民及び事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならないとしています。 確かに、同性婚の認められていない日本においては、法律上の課題や、いかにしてパートナーであることを証明するかといった課題があることは理解します。しかし、法律上の婚姻関係ではない事実婚については適用されている制度が、同性カップルに適用されないという点については、本条例の趣旨に反するものであると考えます。 そこで、今般の福利厚生制度を初めとして、東京都の各種制度を見直していくに当たっては、五輪人権条例の趣旨に沿って、不当な差別的取り扱いをせず、LGBT当事者を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。」と質問し、総務局長が、 「各種制度の見直しに当たってのLGBT当事者への支援についてでございますが、都におきましては、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いの解消のため、昨年十二月に基本計画を策定し、各施策に取り組んでございます。 都の各種制度におけるLGBT当事者の取り扱いについては、それぞれ現行制度の趣旨や目的、法令等との整合性などを考慮して実施することが必要であり、都庁各局が工夫を凝らし、着実に歩みを進めていくべきものと認識しております。 引き続き、普及啓発を通じ、都民一人一人の理解を得ながら、どのような配慮や工夫が可能であるかについて、個別具体的に検討してまいります。」と答弁
by wishizaka
| 2020-12-10 22:25
| 国政や自治体全般の動きなど
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